仕事や育児どう考える?これからのライフイベントに必要な心構えを共働き未来大学に聞いてみた

共働き未来大学

これから結婚や子育てといったライフイベントを控えている方の中には、仕事と育児の両立に不安を覚える方は少なくないでしょう。

近年ではコロナ禍により、夫婦揃って在宅勤務になったことで家事や育児の分担をするようになった一方、依然として妻側の負担が大きい家庭も少なくありません。

共働きが当たり前の今、家族に対してどう向き合うことが必要でしょうか。

共に生き、共に生きる上での工夫をお互いに話し合うことが大切」と語るのは、共に働くを考えるコミュニティ「共働き未来大学」を運営する小山様です。

今回は、コロナ禍による夫婦の現状や、ライフイベントを控える20代や30代に向けた、これからの共働きの心構えなど、アドバイスをお聞きしました。

話を聞いた人

共働き未来大学小山様

小山 佐知子(こやま さちこ)
働き方コンサルタント
2004年立命館大学 政策科学部 卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ(現株式会社マイナビ)に入社、28歳で最年少女性管理職に。その後女性のキャリア支援領域に携わり、4年間の妊活を経て2014年、第一子を出産。リクルートの「赤すぐ」にてマーケティング開発・営業に従事したのち、2016年7月に独立。

キッカケは「女性の働きにくさ」

――共働き未来大学立ち上げの背景や経緯について教えてください。

まず私自身が働いてきた中で、例えば総合職などで男性と肩を並べて働いていると、どこかで「ガラスの天井」があることを感じたり、思い描いていたライフキャリアがどうしても思い描けなくなる瞬間があるというのを目の当たりにして、共働きの前の段階で「女性ってすごく働きにくい」ことを感じたのが起点としてあります。

さらに、家庭の中でも共働きができる体勢や空気感があるかというとなかなか難しく、パートナーから「君が育児や家事を今まで通りこなせるなら社会復帰してもいいよ」と言われたり、義理のお母さんやお父さんに「家庭あっての仕事なんだから」みたいな感じで圧をかけられるといったお話を聞くこともあります。

こうしたお話を聞いていると、「なんでこんなに共働きって難しいんだろう」と感じることがありました。

また、4年ほど前に「共働き」と検索したら、サジェストでは「つらい・辞めたい」といったネガティブワードばっかり並んでいて愕然としました。

「本当にそうなのかな?」と思うところもあり、みんなで楽しくできるように社会を変えられるようなムーブメントができないだろうかということで、ちょうど3年くらい前に素案となるプロジェクトを立ち上げました。

さらに、女性の働きにくさは女性だけの問題ではなく、会社の風土や上司の考え方もすごく大きな影響があります。

家庭の中でも一緒で、女性だけが家事や育児を頑張ってもいつまで経ってもワンオペの状況になってしまうので、「共に働く」ということと「共に生きる」ということをセットでもっと考えられるといいなと思い、立ち上げました。

家事や育児を男性から発信していくことにものすごく意義があると思うんですよね。

時代も人生100年時代になり、これまでのように男性一馬力で家計を支えるのが困難になってきました。

好む好まざるに関わらず共働きが主流になっていくのであれば、辛い想いを抱えながら働くよりも、家庭の中で協力し合っていったほうが絶対にいいですよね。

もちろん、専業主婦という選択肢があってもいいし、「共に生きる」という視点でもっとビジョンメイクできればいいのになと思ったのが立ち上げの想いですね。

共働きをポジティブにとらえることが活動の起点

共働き未来大学について

――共働き未来大学では主にどのような活動をおこなっているのでしょうか。

活動の内容としては主に家庭や個人向けのところと、企業向けの2つがあります。

個人向けのところではコミュニティを立ち上げて、育休やテレワーク・ワーケーションなど色々なテーマごとに興味のある方々に入ってきてもらって、それを未来大学のプラットフォームの中で運用していくというスタイルを目指し試行錯誤しています。

オンラインで質の高いコミュニケーションを取ることで、さまざまなTipsや課題解決策をコミュニティ内でシェアできます。さらにそうした事例を記事にしたり、企業に向けた研修内容やCSRのお手伝いにつなげたりなど、ビジネス展開をしていくというのが今の活動の流れです。

共働き未来大学では、男性女性の性別関わりなく「共働き」をポジティブにとらえることが活動の起点としています。

「共働き」という言葉は「共稼ぎ」と言い換えられたりしますが、なんともネガティブな印象があるなと思っていまして……。お金を稼ぐということは生活するということに直結するわけですから、「どんな暮らしがしたいのか」という軸が家庭のなかにあるといいと思うんですよね。

それと同じように働く環境、例えば会社といった組織でも、これからの時代「共に働く」というスタンスがとても重要になってきます。

組織の在り方が従来の縦割りの主従関係から横並びになっていく中で、個人と会社がしっかり協業しあえる形、たとえば副業の解禁など多様な働き方を推進することがこれからは重要になってきます。

家庭の中で相互理解やパートナーシップ構築ができる方々は、組織の中でも適正な人材配置ができる傾向にあるので、家庭と組織がうまく回ることでとてもいい循環になるというのが共働き未来大学が掲げている部分になります。

コロナ禍で家庭にコミットできる時間が増えた

――働き方の多様性が叫ばれる昨今ですが、近年の働き方やキャリア観・育児にどのような変化があったと感じられますか。

まずコロナ前とコロナ後という部分で考えると、働き方に関して非常に大きな変化を感じ取っております。

特に子育て世代の方や、これから子どもを持ちたいとか家庭を大事にしたい方々は、今の変化を非常にポジティブにとらえていると思います。

テレワーク等によって今までみたいに通勤での時間を強いられることもなくなり、家庭に対してコミットできる時間がすごく増えているのではないでしょうか。

その分家事や育児はもちろん、例えばパパに子どもを見てもらっている間に1時間オンラインでレッスンを受けるとか、そういう馴染みの時間に充てるなど、すごくポジティブにとらえて日々を運用されている方が多いなと感じています。

細かいストレスは皆さんあると思いますが、幸せの総和や生き方そのものの質は向上しているように思いますね。

「コロナで辛いことも多いけど家族にとっては幸せが増えたよね」という話は本当によく聞きます。

育休を考える前に家庭での時間の使い方を大切にすべき

――育児と仕事の両立における、男性の育休取得に関する現状をお聞かせください。

公益財団法人日本生産性本部の調査では、2017年度の男性新入社員の79%が「子どもが生まれたときには育児休暇を取得したい」と回答しています。

ただ、実際の取得率は10%以下に止まっていて、女性の育休取得率には到底かなわないのが現状です。

私が問題視しているのは、どちらかと言うと数字の低さそのものよりも、育休を取得したいのに取れない背景です。

企業の風土や制度が影響しているケースが多いと感じており、経営層を中心に男性の育休を頭ごなしにNOとするのではなく、働き方改革の一部として前向きに検討してほしいなと思います。

実際に共働き未来大学のコミュニティでは、育休については「3日や1週間といった短い育休は意味がない!」という声があります。

中には「そんな建前だけの育休を取るくらいなら、取らずに毎日定時で帰ってほしい」といった声もあるくらいです。

何のための育休かを考えれば当然の話ですよね。

特に新生児のお世話は1週間で大変さが変わるわけではないので、定期的な育児への関わりが大事です。

育休を取る・取らないという議論の先にある「どうやって家庭の時間を過ごすか」という本質を大事にしたいなと思います。

共に生きるために「手放しのアイディア」を考えてみる

――改めて女性・男性それぞれが抱える共働きにおける課題はなんでしょうか。

イベントや座談などで夫婦のリアルな声をお聞きすると、基本的に男性は「自分が稼がなければいけない」という責任感が良い意味でとても強く、それが裏目に出てしまっているケースもあると思います。

家事や育児のウェートが妻に偏りすぎると、妻側のワンオペ疲労がかさみます。

一方で日本の女性側は家事をしすぎているというデータもあるくらい、料理や掃除などしっかりこなしますよね。

女性もまた、例えば「離乳食は手作りしなければならない」など、”〜すべき”に囚われている部分もあります。

じょうずに手放す、というのも共に働き、共に生きる上での工夫ではないでしょうか。

スーパーのお惣菜や宅配を上手に活用したり、お掃除ロボットを導入したり……。自分が抱えないことで可処分時間は確実に増えますからね。

妻から夫にそうした「手放しのアイディア」を投げかけてみるのもいいのではないでしょうか。

――確かに男性側は女性の家事をする姿を見てやっと動き出す方が多いと思います。

妻側が「夫を育てるんだ」という寛大な気持ちで、夫の家事に向き合うことも大事ですね。

セミナーでよく盛り上がる話ですが、「キッチンは夫に触られたくない」というケースがあるようで……。

キッチン以外にも言えることですが、妻には自分の同線や片付けの位置みたいなルーティーンがあるんですよね。

だから、良かれと思って夫がお皿お洗いをしても、「片付け方そうじゃない!」とか、「ここに置かないで!」とダメ出しをしてしまう。そうなってしまうと夫は「じゃあもうやらないよ!」となってしまいます。

最初は家事力が低い男性でも、家事を継続すれば慣れていくので根気強く向き合ってあげることも女性側は大事かなと思います。

家庭を一緒にまわしていくためには、やってくれたことに対してまずは「ありがとう」と伝えることがすごく大切です。

当たり前のことですが、これがなかなか難しく、我が家でもたびたび言い合いになることがまだまだあるのですが(苦笑)。

結婚や子育てを控えた今、未来に向けて夫婦で話し合うチャンス

――結婚や子育てなどライフイベントを控える20代・30代に向けて、これからの共働きの心構えなどアドバイスをお願いします。

結婚や子育てなど何かしらライフイベントを迎える時に、「これでいいのかな?これからどうしたらいい?」ということをやっと自分事化される方も多いのではないでしょうか。

これは、今まで「ライフ」というところまで考えてキャリアデザインすることがなくて、ライフキャリアという観点が欠落したまま、結婚する時にモヤモヤしている人は多いのかなと思います。

それ故に結婚や子育てを控えているということは、何かしら考える時期でありチャンスです。

就活みたいに自分一人で考えることではなく、一緒に生きていくパートナーがいるわけですから、お互いにどんな家庭を築きたいのかを話し合うことが大切になります。

それぞれ育った背景や環境が違えば共働きの定義も違うので、話し合うことで色々なズレが見つかったりします。

話し合いのズレをもとに、例えば二人とも家事が得意じゃなければお掃除ロボットの導入を検討するなど、こうした建設的な話ができると、いざ生活が始まってもお子さんが生まれたあとで揉めることも少なくなると思います。

共働き未来大学でも、夫婦でどうしていきたいのかを対話するワークシートを作成して用意しておりますが、こうしたワークシートを活用することでお互い何を考えていたのか、より詳しいことが分かるようになると思います。

取材先情報

企業名:ライフキャリア・シナジーLab
設立:2016年7月
事業内容
女性キャリア支援、企業向け研修・コンサルティング
共働き未来大学の公式ページはこちら

関連記事

挑戦から成功へ!2人のDJが社員同士をつないだラジオ配信とは?

「オンライン飲み会」という言葉が世間に浸透してきた2020年。会社内で開かれる、歓送迎会や飲み会をオ…

”ありがとう”でつながる人と企業!オウケイウェイヴが考える従業員…

2020年、世の中は新型コロナウィルスに振り回され、2021年も引き続きウィズ…

苦い経験がビールと会社を育てた!お互いを認め合うチーム企業の魅力

働き方改革や新型コロナウィルスの影響で「リモートワーク」という言葉をよく聞くようになりましたね。…

「鹿児島の企業と人をつなげたい」、鹿児島に特化した求人サイト「…

鹿児島県では、「魅力的な企業がない」といった理由から、鹿児島から出て…

地方企業と副業人材をつなぐ「JOINS」の魅力について聞いてみた

ここ数年の働き方の多様化、さらに新型コロナウイルスによる在宅勤務の浸透もあり、